公共施設再生計画に関する経緯(3)

 内容も実施方法も問題の多い公共施設再生計画。その経緯を振り返る記事、第3弾は、2011年3月公表の「習志野市公共施設再生計画策定に対する提言書」(以下「提言書」、リンクは→こちら)、2012年5月公表の「習志野市公共施設再生計画基本方針」(以下「基本方針」、リンクは→こちら)について紹介します。問題の多い公共施設再生計画が生み出された具体的な背景が見えてきます。

 提言書も基本方針も従来の場当たり的な対応と問題の多い「公共施設マネジメント白書」(2009年)に基づいて作成されています。引き続き、財政再建という「手段」を盲目的に「目的化」し、老朽化する公共施設をそのまま更新はできないという短絡的な考えに終始していますが、主な問題点は4つあります。

1.市民との協働を提言・方針として掲げているが、実際には協働は不十分で市民から不満が噴出している現状となってしまっていること。

 提言書では「計画実現に向けた公民連携・市民協働の推進」(概要版の6頁)、「積極的な情報公開による問題意識の共有化」(概要版の7頁)と明記し、基本方針でも同様の記載があります(基本方針の22頁)。しかし、実際にはアリバイ作りのような説明や周知を繰り返し、いざ実行となると市民の声を無視して計画を強引に進めています。旧庁舎の活用、大久保地区の公共施設再編、そして、秋津幼稚園の廃園で、市民からの疑問の声があがっても市長も市役所もまともに受け止めて「協働」する姿勢はありません。提言と方針を無視した計画の乱暴な実行と言えるでしょう。

2.地域区分の検討が不十分であること。

 提言書では、習志野市の14コミュニティという最小構成単位(1985年の「習志野市長期計画」で明記)を意識したのか、「既成の地域区分を尊重しつつも、将来の人口動向、まちの特性を見据えた地域区分に基づく公共施設再生を計画・検討することを提案する」と提起しています(概要版の6頁)。一方、提言書を踏まえて作成されたはずの基本方針では、「現時点では14コミュニティをベースに最もきめ細かく整備されている学校施設を有効活用するという視点に基づき、地域の実情に応じた機能を導入して地域活動の拠点としていく発想への転換が重要と考えます」(基本方針の13頁)、としています。
 既存の14コミュニティを維持するのかどうなのか、提言書と基本方針に矛盾があると言えます。14コミュニティを維持するというのであれば、なぜ秋津コミュニティの核である秋津小学校を廃校にする計画にするのでしょうか。市役所は秋津コミュニティの解体を目指しているということでしょうか。市が習志野の地域区分をどう考えているのか、もっと言えば、真面目に検討しているのかすらも、もはやよく分かりません。

3.小学校は今ある場所に存在すること自体が重要な機能であることを全く認識していないこと。

 「公共施設マネジメント白書」、提言書、基本方針、いずれでも、「施設ありき」の考え方ではなく、施設の「機能」を重視し、「機能」はできる限り維持しつつ「施設」は削減していく、という発想で議論を展開しています。しかし、小学校はコミュニティ、地域社会の中核機能として位置づけられており、その施設が存在すること自体が機能なのです。特に、秋津のように埋立地に形成された新しい街においては、秋津小学校が地域の核・拠点として活かされて、そして地域社会を盛り上げる場になってきました。その小学校すらも「施設」という言葉で乱暴に統廃合するということは、秋津というコミュニティを失くそうとしているといっても過言ではありません。
 基本方針でも、東日本大震災を経験し、「小・中学校等の公共施設が災害発生時において重要な役割を担うことが改めて再認識されることになりました」「住民の避難場所となる小・中学校等の公共施設については、耐震化の促進を含め避難所機能の強化を推進します」としています(基本方針の20頁)。このように、防災という機能一つとっても、小学校は重要な施設であり、安易に統廃合をするべきではありません。逆に言えば、秋津コミュニティの防災機能は低下してもいいとでも言うのでしょうか。

4.提言書の作成のあり方自体に問題があること。

 市役所は、この提言書を受けて、基本方針、そして公共施設再生計画を策定したという建付けを示しています。役所ではない第三者性のある組織から提言を受けて、その提言も加味して計画を作成した、というやり方は、公正性や透明性を示すための役人の常套手段です。
 この提言書を作成した「習志野市公共施設再生計画検討専門協議会」は、妥当な組織だったのでしょうか。この協議会の委員長は根本祐二氏という方で、人口減少等を踏まえて財政再建ありきで公共施設を圧縮する考え方や具体的な手法を全国で説いている学者の方だからです。市役所は、当初から、市の方針、公共施設マネジメント白書に沿った提言を出してくれるであろう方を協議会のトップに据えて、提言書を導き出したと言えるのではないでしょうか。そもそも、公共施設マネジメント白書自体も、どこの自治体でも活用できそうな構成や記載内容であり、市役所はどこのコンサルタント、学者に白書の案の作成を依頼したのでしょうか。
 提言書の作成のあり方自体の問題に気が付くと、白書から提言書、基本方針、そして公共施設再生計画という流れ自体が、一定の方向性や思惑に基づいて進められてきたと言えます。

 次回は、この連載記事の最終回として、公共施設再生計画の問題点、そして、その問題点への対案を示します。反省も街づくりの理念もなく、そして、外部の手法を丸呑みしたかのような公共施設再生計画。その是非を徹底的に議論し、抜本的に改めるべきかどうか、4月の習志野市長選及び市議選で争点になるべき重大な課題と考えます。

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